98人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
兄 香月
今日は、あまりにも頭に来たことがあり、それについて書くとブチギレて脳溢血になりそうなので、敢えて違うことを書く。
俺には、香月という三歳年上の兄がいた。素晴らしい兄だったが、四年前に癌で亡くなった。兄は結婚していて幼い子どもが二人いた。かわいそうだった。代わってやれるなら俺が死んだ方がよかったのに、と何度も思った。
兄は子どもの頃から申し分のない人間だった。非の打ち所がないとでもいうべきか。
そんな兄と比べられたら俺の立つ瀬はないのだが、俺は子どもの頃、病弱で何度も死にかけたらしく、
「冴月は元気でさえあればいい。生きているだけでいい。」
などと言われ甘やかされて育った。
最初のコメントを投稿しよう!