兄 香月

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兄 香月

 今日は、あまりにも頭に来たことがあり、それについて書くとブチギレて脳溢血になりそうなので、敢えて違うことを書く。  俺には、香月(かずき)という三歳年上の兄がいた。素晴らしい兄だったが、四年前に癌で亡くなった。兄は結婚していて幼い子どもが二人いた。かわいそうだった。代わってやれるなら俺が死んだ方がよかったのに、と何度も思った。  兄は子どもの頃から申し分のない人間だった。非の打ち所がないとでもいうべきか。  そんな兄と比べられたら俺の立つ瀬はないのだが、俺は子どもの頃、病弱で何度も死にかけたらしく、 「冴月は元気でさえあればいい。生きているだけでいい。」 などと言われ甘やかされて育った。
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