兄 香月

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 一番好きな画家はピカソだった。なぜか、ピカソの絵は俺にとって、もっとも自然で理解できる気がした。ピカソの他、クレー、ミロ、カンディンスキー、マルセル・デュシャン、ダリ、デ・キリコなど大好きで、似たような絵を色鉛筆とクレヨンで毎日のように描いた。    ピアノは確かメトードローズから始めた。兄は俺に合わないと判断した曲は飛ばし、俺が好きそうな曲で俺に自信をつけさせた。ハノンは大好きだった。あの単純な指の練習は妙に心が落ち着いた。今でも超高速でハノンを弾くと心がフワッと軽くなる。  読書は偉人伝にハマった。リンカーン、ナイチンゲール、エジソン、福沢諭吉、野口英世等の伝記小説。それに味をしめ、シューベルト、ベートーベンなど作曲家の伝記小説も読んだ記憶がある。  マンガは父親が趣味で揃えていた手塚治虫、赤塚不二夫、石ノ森章太郎、白土三平、矢口高雄などの作品集が家にあったので、繰り返し読んだ。
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