虹色の記憶

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この間の戦争より前 むかーしのお話 天皇陛下が お若くして亡くなり 時代が昭和に改まった頃のこと… この村は今よりずっと海に近くて 家から出て少し走れば もう、波打ち際でした。 今は、村と海の間に 国道と長い堤防があるから 海はコンクリの堤防の上に 沖のほうが少し見えるだけ でも、このお話の頃は 村と海に、境目なんてなかった 通ってた小学校の校庭も ちょっとかけっこすれば すぐ波打ち際 休み時間はみんな渚で遊んでました 村中どこに居たって、いつも ざあん、ざああん、と 波の音がしているんです だから、あの海の向こうまでも ずうっと自分の村のように 私は思ってましたのさ。
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