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「あの女、何か訳ありなんですか?」 「訳ありも訳あり。キャバに勤めてる店子に聞いた話じゃ、飲み屋界隈じゃあ有名な娘らしいよ。何でも、金の為なら何でもする、手癖の悪いことで有名なんだって。男なんて、可愛い顔してニッコリ笑えばイチコロだからねぇ――」  少しドキリとした俺が、大家さんの詳し~い話を要約すると、あの女はキャバクラに勤め、男に惚れさせては金品を貢がせることで有名な女らしいのだ。            そうか、そうだよな。そんなオチでもなければ俺についてくる女なんて居る筈がないよなぁ……。  などと現実の厳しさに納得し、しんみりとしながら大家さんを見送った俺が、気を取り直して部屋に戻ると、女はなんとなく真剣そうに落書きをしているように見えた。自分の名前と住所を書くくらいでどうして真剣になれるのか、全くもって不思議でならない。
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