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 そうだ、昨晩がアルバイト代の支払い日だった俺は、いつものように〝少し〟気が大きくなり、久しぶりに行った居酒屋で、しこたま飲んで食って気分よく帰宅していた深夜の路上で、倒れている若い女を拾ったのだった。  景気よく泥酔している俺は、女を(ふん)づけていた。足下から蛙の声が聞こえた。 「ぐぇ!」  蛙だ。えらくデッカイ蛙だ。俺は不思議に思い、再度踏んでみた。 「ぐぇ!」  再度。 「ぐぇ!」 「ぐぇ!」  柔らかくて、踏み心地よい感触に俺は、蛙を何度も何度も踏んづけていた。最後には足を手で払い除けられ、踏んでいたのが道路に倒れている女だと、ようやく理解した。こんな夜中に、何故(なにゆえ)女がこんなところに倒れているのか、なんてよくわからないし、気持ちよくなっている俺には関係無いことなので、そのまま(また)いで通り過ぎた。
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