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しかし、はたと気持いい脳みそで思い返した俺は、女へと引き返しサンダル履きの親指の先で、女の身体を軽く突いてみた。
柔らかい。昔からドン臭くてモテなかった俺の、学生時代振りの、十何年か振りの女体との接触だった。いやらしい男子中学生だった俺は、子供の特権を最大限に利用し、同級生の女子に、今で言うところのセクハラ行為を繰り返していたのである。
その頃の思い出がまざまざと蘇ってくる。確かに女子の身体は柔らかい。柔らかくてしなやかでくにゃくにゃと身体を反らしながら逃げ回る。逃げ回る女子に人差し指を突き立てたときのあの快感、黄色い声を上げながら逃げ惑うしなやかな死体、いや肢体。
鬼となった俺を恐れ慄き、軽蔑し畏怖の眼差しと非難の対象と成る瞬間のエクスタシー! そのとき俺は女子たちの脳細胞の端っこあたりに、嫌な奴の意識として確かに存在していたのである。そう、何もかもが懐かしい。
なんだか、嬉しくなった俺は、何度も何度も女の背中を足の指先で突いていた。こんな機会は滅多にあるものじゃない。女が交通事故にでも遭っていたのならば、生存確認なんだし誰かに咎められるものでもあるまい。俺は思う存分、気が済むまで女の背中を指で突いていた。
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