命の選択

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僕の名前は『虹輝(こうき)』、結婚して1年になる27歳の平凡な会社員だ。 妻の『紫乃(しの)』は結婚後も働いていて共働きの僕たちは、お互いに忙しいけれど夕食はできるだけ一緒に過ごすようにしていた。 紫乃は結婚後ほどなく妊娠して今月で8ヶ月になるため、来月から産休に入る予定だ。 お腹もだいぶ目立つようになってきた。 僕達夫婦は、生まれてくる赤ちゃんが女の子であることを産婦人科の医師から聞かされていたため、名前をどうしようか相談していた。 ある日、夕食の準備を終えて紫乃がテーブルにつくと、僕は紫乃に話しかけた。 「紫乃は、どんな名前がいい?」 夕食を食べながら、紫乃は少し考えてから話し始めた。 「皆から愛されるような女の子になってもらいたいから『愛』という字を入れたいね!」 僕は、なるほどと思いながら頷いた。 「虹輝は、どんな名前がいいと思う?」 これといった名前が思いつかない僕は、 「まだよく考えてないよ!  名前辞典見たけど、たくさんあって迷っちゃうね!」 と正直に答えた。 夕食を終えると紫乃が名前辞典を見始めた。 「愛だけだと寂しいね!  愛美、結愛、心愛、愛菜、愛莉…  いろいろな名前があるんだね!」 紫乃は、名前を考える時間が楽しそうだった。 紫乃と僕は、産まれてくる赤ちゃんの顔を見るのが楽しみで、この時の僕たちは幸せいっぱいだったと思う。
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