命の選択

3/11
前へ
/11ページ
次へ
紫乃は11月から産休に入り、少しずつ出産の準備をしていた。 出産予定は12月20日頃と産婦人科の医師から聞かされていた。 僕は、紫乃の事が心配で、 「風邪ひかないように気を付けてね!」 と口癖のように言っていた。 12月に入ったある日、会社に勤めていた僕のスマートフォンに、紫乃から電話が入った。 「今日体調が悪くて産婦人科医院で診てもらったんだけど、市立病院に行って検査するように言われたの…」 僕は心配になって、 「明日、会社休もうか?  僕が市立病院に連れて行くよ!」 と提案した。 「そうしてもらえると助かる。」 紫乃は、元気がなさそうだった。 僕は今日の仕事を片付けて、定時で会社を出て急いで帰宅した。 帰宅すると紫乃がいつものように夕食を作って待っていてくれた。 「紫乃、無理しなくていいよ!  それより、体調大丈夫?」 「うん、休んだら少し良くなったけど、今日はお腹が痛かったの…」 元気がなさそうな紫乃を見て、 「明日、市立病院で診てもらおう!」 と声をかけた。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加