命の選択

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2時間ほど経過して、医師が分娩室から出てきて僕に説明してくれた。 「赤ちゃんが生まれたのですが、母子ともに危険な状態です。  このまま集中治療室に入ります。」 ほどなく紫乃は、ベットに寝たまま集中治療室に運び込まれた。 また、生まれたばかりの赤ちゃんは、保育器に入った状態で集中治療室に運び込まれた。 僕も集中治療室に一緒に移動して、集中治療室前の廊下で待つことにした。 1時間ほどすると医師が集中治療室から出てきて僕に説明してくれた。 「母子ともに危険な状態であることに変わりはありません。  今は意識が戻らない状態で、このまま様子を診ることになります。」 僕が医師にお礼を言うと入室が許されて、紫乃と赤ちゃんのいる場所に案内された。 赤ちゃんは、保育器に入ったまま紫乃のベットの隣で眠っているようだった。 鼻から酸素、腕には点滴と、小さな赤ちゃんには痛々しい感じがした。 紫乃も酸素と点滴が行われていて、目を覚ますことなく眠り続けているようだった。 夕食を食べるのも忘れて、僕は紫乃と赤ちゃんのそばにいた。 僕はこんなとき、どうしたらいいのかわからず途方にくれていた。 神様なんて信じていないけど、この時ばかりは神様にすがりたい気持ちでいっぱいだった。 (神様、どうか紫乃と赤ちゃんを助けてください。) 僕は、心の中で手を合わせて神様にお願いをした。 紫乃のベットの隣で椅子に腰かけていた僕は、疲れていたのかいつのまにかうとうとと眠り込んでしまった。
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