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僕がふと目が覚めて辺りを見回すと、集中治療室内は真っ暗になっていて、窓の外の明かりが少し差し込んできていた。
僕が立ち上がって紫乃の顔を覗き込もうとしたとき、窓の近くに人の気配がすることに気が付いた。
暗闇に目が慣れてきて窓の近くをよく見ると、小学校低学年くらいの小さな女の子が立っていることに気が付いた。
「貴方は誰?」
少し沈黙があって、薄明かりの中でその女の子は私の目をまっすぐに見据えて話し始めた。
「今、私のことを呼んだでしょう!
私は神!」
何を言っているのか、まったく理解できない僕は、
「何を言っているの?
どう見ても子供でしょう!」
と発言した。
神と名乗るその女の子は、少し怒ったような強い口調で僕に話し始めた。
「こう見えても私は、人間の年齢で言えば900歳を超えているの…
正確な年齢は分からないけどね!」
僕には、まったく意味が理解できなかった。
「貴方は、紫乃さんと赤ちゃんの両方の命を助けたいの?
欲張りね!」
その女の子は、僕が心の中で神様にお願いしたことを知っているようだった。
「そう、助けたい!
僕にとって紫乃と赤ちゃんは、かけがえのない存在だから…」
女の子は、少し考えてから僕に話し始めた。
「貴方は神の存在を信じていないでしょう!
でもいいわ、今日はクリスマスイブだから貴方の願いを特別に聞いてあげる…
と言いたいところだけど、神の私にもできることとできないことがあるの…」
僕は、いったい誰と話をしているのか、頭の中が混乱していた。
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