瀬名川美貴の事情

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 高校三年生の時の活躍が目にとまり、そこそこ強豪と言われている松川大学からスカウトを受けた。  もちろん、二つ返事で承諾した。  そのラグビー部で運命の出会いをした。    入部前の顔合わせのとき、一際小さな男がいた。  名前は真壁厚。  長身の自分と並ぶとまるで大人と子どもくらいの差がある。  でも、ラグビーという競技ではスクラムハーフは小柄な事はよくある光景なのでさほど驚くことはないのだが、なぜか目が釘付けになった。    それは自分にはない強いオーラをビンビンに放っていたからだろうか?   でも、よく見るとかわいい顔してるなぁ。  仲良くなりたいなぁ。  あれっ、これって、何だろう。  美樹じゃないよね、今。  憧れ?   いや、これは恋?  いやいや、必死で打ち消す自分がいた。  その後も、同じレギュラー組で練習できているので声をかけるチャンスはいくらでもあったのに…。  気にはなっているのに、自分からは近づけない弱い自分。
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