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同じレギュラー組に選ばれた一年生は他にも二人いた。
一人は横溝隆。
ポジションはスタンドオフ。
とにかく爽やかで溌剌とした男で、何をしていても目立つ。
もって生まれたリーダー気質なのだろう。
試合やゲーム形式の練習では、先輩たちに対しても躊躇なく厳しいことを言っている。
でも、普段はとても礼儀正しくて、誰にでも親切である。
厚は最初の頃は嫌ってたみたいなんだけど、いつの間にか結構、仲良くなっていてちょっと妬ける。
あっ、いやなんていうかね。
この頃はまだ、厚とあまり関係性がなかったので。
二人でよくゲーム戦略の打ち合わせなんかをしてるみたいで、自分も仲間に加わりたいなぁなんて思っていた。
もう一人は塩満元太。
ポジションは絵にかいたようなプロップ。
プロレスラーみたいな大柄な体格で自分と違って腕も脚も体幹もとにかく太ましい。なのに、素早く動けるスポーツ万能デブ(良い意味)である。
天真爛漫な性格で先輩たちからも同級生からも愛されている。
引っ込み思案で気弱な自分に、最初に話しかけてくれたのは元太だったかもしれない。
試合の時も、知らない間に勝手にできていた自分のファンクラブの横断幕やそこに集まる女子を見かけると、いつも、「松川大のスーパーアイドル」なんて笑顔でちゃかしてきたけれど…。
その茶目っ気たっぷりな表情には悪気や嫌味はなく、僕をリラックスさせてくれていた。
五十川雄介のことは一年生のときには正直、印象に残っていない。
二年生になっても、最初はよく居残り練習を頑張ってるなぁくらいにしか思っていなかった。
でも、二年の秋になると元太が居残り練習に付き合うようになっていた。
しばらくすると、その練習に隆の姿もちょくちょく見かけるようになっていた。
で、さらに厚も練習に加わり、
「お前も一緒にこい」
と言われて、自分も参加するようになった。
ちなみに、この頃にはすでに厚と特別な関係になっていた。
雄介は努力の人だった。
上手くできない自分が悔しくてよく涙を流している光景も目にした。
でも、自分から練習を止めるとは言わない。
放っておいたら、気絶するまで追い込んでしまう。
隆と元太が壊れないようになんとかコントロールしていた。
なぜ、そこまで頑張れるのか?
こちらが心配になるほどだった。
そして、はっと気がついた。
高校生のとき、自分もレギュラーになりたくて、死ぬほど筋トレや補強のトレーニングを頑張ってたということに。
当たり前のようにレギュラー組になっていたことで、自分は大切なことを忘れていた。
だからこそ、胸を打たれた。
この五人を繋げてくれたのは、間違いなく五十川雄介なんだと思う。
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