塩満元太の欲求

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塩満元太の欲求

 ふぅ、この傾斜はデブには堪えるぜ。  前の二人(厚と美貴)は何の苦もなくサクサク歩いているように見えるが、俺や雄介はそうは行かない。  登り坂では自分の体重がそのまま重りになる。  隣の雄介もだいぶ息があがっているようだ。でも、雄介はこんなことでは弱音を吐かない。  折れない心選手権、日本チャンピオンだと個人的には思っている。  雄介とは高校、大学と7年間、一緒にラグビーをしてきた。  卒業後も一緒にラグビーを続けたいと思っていたが、俺は社会人ラグビーのトップリーグに参戦しているチームに入団する。  ラグビーをやっている人間にとって、大学卒業後もトップカテゴリーでラグビーを続けられるということは、本当に栄誉な事だ。  隆と美貴もそれぞれ異なるチームからオファーがあり、社会人でもラグビーを続ける。  厚は早々に競技から身を引くことを決めていた。十分に上のカテゴリーでもやっていけると思うのだが、本人の想いが強いみたいだ。  そして、雄介も競技者としての区切りをつけ、就職浪人をして夏に教員採用試験を受けるとのこと。  雄介と離れるのは寂しい。    雄介がいなくて、俺は上手くやっていけるのであろうか。   
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