塩満元太の欲求

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 物心ついたときから女の人より男の人が好きだった。  いわゆる生粋のゲイというやつだ。  ぼんやりとした初恋の相手は幼稚園の送迎バスの運転手さん。  ふくよかで優しい感じのおじさんだった(今思えばお兄さんなのかな)。  いつも運転手さんがよく見える最前列の左側の席に座っていた。  休憩時間には、たまに運転席で膝の上に乗っけてもらったりもした。  遠足のときには、他の園児はクラスの女性の先生を囲んでお弁当を食べていたけど、自分は運転手さんと一緒だった。  手を繋いだり、大きなお腹にしがみつたり、太ももに抱きついたり、園児のときは好き放題できていた。  もちろん、周りの大人や運転手さんも、ただのかわいらしいスキンシップにぐらいにしか思っていなかったのだろうけど。
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