塩満元太の欲求

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 こんな俺の邪な欲望で雄介をラグビーの世界に引き込んだ訳だが、    雄介は努力の天才だった。  最初は練習に全然ついて行けなかったのに、弱音を吐くことなく、努力に努力を重ねて、三年の春にはとうとう右プロップのレギュラーポジションに抜擢された。  そして、俺はスポーツ推薦で、雄介は一般受験で松川大学に入学し、ラグビーを一緒に続けることができた。  ただ、松川大学ラグビー部はそこそこ強豪だ。  練習も集まる選手のレベルも高校の時とは比べ物にならないくらい高い。  努力だけでは埋められない壁が雄介に立ちはだかった。  俺は一年からレギュラー組、雄介は控え組のさらにその下の組だった。  二年の秋、雄介は監督から選手を辞めて主務(マネージャー)になるように言われた。  事実上の引退勧告なわけだが、 雄介は食らいついた。監督に何度も何度も競技を続けさせて欲しいと懇願した。  でも、監督はそれを拒んだ。  俺には責任がある。  雄介をラグビーの世界に引き込んだ責任が。  こんな形で終わらせるわけにはいかないんだ。  だから、自分が主務をやるので、代わりに雄介には競技を続けさせるようにあれこれ理由をつけて交渉した。   監督は困り果てて、一年間の猶予をくれた。  そして、俺はその間に雄介を使えるレベルの選手に責任を持って引き上げるよう約束した。
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