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鰆岩まであと30分ほどであろうか。
傾斜はきついが、木々の緑が太陽の光を遮り、これはまでは暑さはそれほど感じなかった。
しかし、ここからは尾根づたいで、急に空が開けている。
容赦のない日射しは、早春というよりは、初夏の暑さをもたらしていた。
あと、30分…
前には厚と美貴、後ろには隆と千洋さん、程よく等間隔に距離があいており、前後の会話は聞こえてこない。
「なぁ、雄介。
厚と美貴っていつも一緒で仲いいよな。
どんなこと話してるんだろう」
「うーん、二人とも猫が好きで、よく猫の話をしてるみたいだけど。
二人で猫カフェなんか行ったりしてるみたいだし」
「猫カフェ!?
男二人で?」
「ほら二人のリュックとショルダーバッグにお揃いの猫のキーホルダーがついてるだろ。
二人で楽しそうに話している姿はまるで恋人同士みたいだよ」
知らなかった…。
鈍感だと思っていた雄介よりも、俺の方が鈍感なのか…。
「雄介!
今度、俺たちも猫カフェ一緒に行ってみないか?」
体温がぐっと上がったのは、照りつける日射しのせいにしよう。
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