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大学生になったとき、初めて同世代の男を好きになった。
同じ一年の塩満元太だ。
短髪で無精髭で、逞しい身体、で屈託のない笑顔は、昔、切り抜いた父親(と思われる男)と重なる。
でも、すぐに諦めた。
元太はどうみても五十川雄介に惚れているからだ。
もう、雄介以外は眼中にないと言ってもよい。
そして、その雄介もどうやら元太の事が好きみたいだ。
両想いなのに、二人の関係性はなぜかまったく進展せず、実にもどかしい。
二年の秋には元太からよりにもよって、雄介の居残り練習の相談をされた。
雄介のためというよりも、困っている元太がいとおしく、なんとか力になってあげたいという思いで、雄介のトレーニング計画を立て、練習に付き合うようになった。
元太は雄介のことを努力の天才と言うけれど、その努力は元太と一緒にラグビーをしたいからなんだけどな。
まったくもってもどかしい。
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