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傾斜が緩やかになった。
鰆岩ももう見えている。あと10分もかからないであろう。
前を歩く元太と雄介の距離感は近い。腕を組んで歩いているように見えるくらいに。
そのさらに前を歩く厚と美貴は逆に微妙な距離感。いつもより少しよそよそしい感じがする。
「昼飯を食った後が勝負だな。
何かとびきりのタクティクスはあるのか?」
横を歩く千洋さんが少しいたずらっ子ぽい顔をして言った。
「俺は変に小細工しないで、お前のそのままの気持ちを伝えたら言いと思うけどな。
大丈夫だよ、
俺が作った特製弁当を腹一杯食えば何もかも上手くいくって」
って、いつもながら意味不明で根拠の無いはずのその言葉なのに、なぜか千洋さんが言うと本当に大丈夫な気がしてしまう。
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