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隆から五人の卒業旅行は菅平にしたから、ペンション千洋の部屋を使わせて下さいって連絡が来たときは少し驚いた。
旅行に行くなら何もわざわざ菅平にしなくてもって言ったのだが、手助けしてあげたいというか、背中を押してあげたいことがあるんだと。
隆は面倒見が良いからな。
一年生のときに合宿に来たときから、目立っていた。
将来の松川大学のラグビー部を背負う人材だと思った。
色々とペンションの雑用も積極的に手伝ってくれたし、慕ってくれている感もバリバリだったので、関係も他の学生よりも密になっていった。
三年生の夏には次期キャプテンに指名されたと報告を受け、まぁ、順当かと思った。
それよりも驚かされたのが、父親のことだった。
自分は父と会ったことがないこと。
でも、自分なりに調べたら、雑誌に載るくらいには有名なラグビー選手であるということ。
名前を聞いたら、自分よりだいぶ歳上なので接点はなかったが、俺の世代でラグビーをやっている人なら誰でも知っているくらいの有名な選手だった。
古い雑誌の切り抜きの写真を見せてもらったら、はっとした。
俺によく似ていたからだ。
なるほど、隆が俺の事を慕ってくれてのは、この男の面影を辿っているからなのだと理解できた。
さらに四年生の夏合宿のときには、
自分はゲイであるとカミングアウトされ、さらに驚かされた。
まったく、困ったもんだぜ。
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