八坂千洋という男

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 雄介から元太にアプローチする世界線はあるだろうか?  いや、難しいかな。  雄介は元太に対して憧れが強過ぎる。  コンプレックスと言い変えても良いかもしれない。  ラグビーの技量に関しては、同じポジションのレギュラー同士であっても、明確な差がある。  さらに、元太には居るだけで周りを元気にさせる、太陽のようなオーラもあり、雄介には眩しすぎるのかもしれない。  でもな、お前のその控えめだけど、芯が強く、一生懸命に努力できる姿は周りの人間の心を動かす。そしてそれは緩やかな波紋のように広がり絆や縁をもたらしている。  それに気づいているか?  この五人の絆、卒業旅行が成立しているのも、お前の縁の力なんだよ。  そして、その力を一番必要としているのがお前が憧れ、そして恋い焦がれている元太なんだよ。    どうだ、  勇気を持って、お前の方から元太を抱き締めることはできないか?  ここまで導いてくれた元太に応えてあげて欲しい。  抱き締めて、キスをしたら、もう憧れの元太はお前のものなんだぞ。  
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