1.九條

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1.九條

「『君はまるで(ろう)人形だ』」 そうやってせせら笑う声に不快感を感じた。 何度も、何度も。言われ続けてきたことなのに、慣れない。 自分が今のまま変わらないことにも苛立ちを覚えるからだろう。自分自身も嫌になる。 一緒に寝ている男に背を向けて、逆方向を向いて目を閉じた。 「そんなこと言うなら一緒に寝るなよって感じかな」 「わかってるなら一緒に寝るなよ」 「冷たい男だなあ!ここまでやっといて!」 「はあ?何言ってんだ…?風邪引いてる俺の横で寝てるだけだろうが!」 「ごめん、ごめんて!」 俺は鼻水をすすり、咳をし、くしゃみもついでとばかりにかました。 わざとじゃない。本当に風邪だ。 なんなら移ってしまえ。
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