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4.目覚め
声がする。
これは…誰の声だろうか。
「國村さん、どうやら巻き込まれたみたいです」
ええ、と相槌を打つ感じは、誰かと通話中なのだろうか。
聞いたことのある声だな…と思うと同時に、重たい瞼を押し上げた。
そこに見えたのは、何故か俺のオフィスの天井だった。
なんでこんなに硬いのかと思えば、仮眠用に置いてあった簡易ベッドに横たわっていることに気がついた。
事務所と自宅は別で、ここから少し遠いのに、なんでいきなりワープしてんだ、俺。
横を見ると、見知った顔──従業員の1人である原が椅子に座っていた。
大抵無表情でいるこいつは、相変わらず無を顔に貼り付けたまま、相手と話し続けている。
どうやら俺の話をしているらしいが、今は何も考える気力が起きない。
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