3人が本棚に入れています
本棚に追加
はあ…と溜め息をつくと、それに気づいたのか、原はこちらを見た。
「おはようございます、社長。目覚めはどうですか。──あ、はい。河合さん。社長は『今日も』元気らしいので、依頼に来て下さっても大丈夫ですよ」
淡々と言われることとか、ツッコミどころは多々あるけれども…。まあ、いいか。
「河合」とは、クライアントの1人であり、俺の昔馴染みでもある。
元々金持ちで、家業の殺し屋という職業がマッチしたのだろう、ちまちまと掃除屋をやっていた俺に、初めに事務所を作らないかと提案してくれたのが彼だ。
そのあと、まさか本気で金を出して事務所を作ってくれるとは思いもしなかった。
そんな太っ腹なところに惹かれる奴も多いんだろうが、やはりそのカリスマ性みたいなものについて行きたい奴が圧倒的なんだろう。
俺とは利害一致だけで手を組んでいるようなものだ。
捨てられることも覚悟しているが、相手にはその素振りすら無いため、このまま安泰なのかすら分からない。
ま…今のところは、大丈夫だろうが…。
通話が終わったのか、原は耳からスマホを離し、俺に向かって「飲み物持ってきますね」と言って休憩室に向かった。
最初のコメントを投稿しよう!