5.春川

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「貴方は、今まで倉田のことをおかしいとは思わなかったんですか?」 「え?」 「触れ合うことがあったのなら、それに気づいているはずですが」 そう言って河合は珈琲を近くの机に置き、立ち上がる。そして俺に顔を近づけてきた。 その深いブラウンの瞳に、脳内を覗かれているような変な気分になる。 「心なんてものを、ヒトは持ち合わせているから、おかしくなる」 「…は?」 頭の上に疑問符がついたところで、彼は自分の親指で俺の唇をなぞった。 それはまるで──。 「『ドール』に心なんて無いんですよ」
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