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「なんだ『九條』は今から帰りますってか?ありがたいな、迷惑だけかけて帰るのか」
「いや、今は『ホクロの俺』の方だよ」
「はあ?」
ホクロ?まあ、確かに特徴的なホクロはあんたの顔に付いてるけども…。
一体どういう言い回しなんだと思って、俺はそいつの方に顔を向けた。
「『騙すのが得意な方』だよ、掃除屋さん」
「──!」
さっきまでの明るい声とは違って、薄暗いような…それでいて人を誘惑するのに長けているような妖艶な声が聴こえてきた。
上手く言えないが…『九條』とは違うことだけはハッキリとわかる。
上体を起こして、『そいつ』は微笑んだ。
「それと『人殺しが好きな方』とも言えるかな?」
「あんた…」
ここに来て、まさかこいつが二重人格とかそういうのだったとは。
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