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2.倉田
確かに言動がおかしいような時も多々あったが、それは『こっち』が出てきている時だったのだろうか?
とすると、『九條』は一体何者だ──?
「俺のことは『倉田』とでも呼んで?」
「倉田…って、本名か?」
「え?『倉田界』ってのが、『俺ら』の共通の名前だよ。そうやって育てられたし、今も名乗ってる」
「じゃあ、3年前の春川ん時も…」
言いかけると、倉田は言葉を被せてきた。
「ああ、あれも全部俺が途中まで演技して、『僕』ちゃんが犯してから最期に殺ったの。あ、『僕』とか抜かしてんのは『人に愛されたいバカの方』ね。言っとくけど、俺じゃないから。まあ…『人』ってか、全部『男』だけどな!全く!身体はひとつしか無いんだし、ケツが痛くなるからホントやめてほしいんだけどね。はーうんざり。俺は元々女の方が好きだし、ってか、いつもバーで会う女がすげえ好みでさ!良いんだよね…あの荒れた感じ?刑事らしいんだけど、そそるよな〜女刑事ってさ?ま、お前はどうせ『何も感じない』んだろうけど。可哀想だねえ〜」
一気にまくし立てる感じは、九條とは似ても似つかない。別人だ。
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