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「…よく喋るな」
俺が呟くと、倉田はすっと目を細めた。全ての挙動が、いちいち見入ってしまうほど蠱惑的だ。
「ふふ…!そこは社交的って言ってほしいな!まあでも、お前みたいなのは苦しめがい無いから安心して。愉しくないのは嫌いだから」
なんだ…なんだこの気分は。
「…あんたが邪魔してんだろ」
「──は?」
風邪のせいじゃない。頭に血が上って、顔が火照る。熱くなる。
俺はバッと起き上がって、そいつの襟首を引っ掴んだ。
そいつの顔は、酷く冷めていた。
「『九條』を…あんたが抑えつけて、じわじわ殺してるって言ってんだ…」
「…はあ?──ふ、ふふ…!何言ってんだよ!元々俺が主体だっての。あいつの出る幕なんて精々男とのセックスの時か、お前と会話する時ぐらいだろうが」
「…ッざけんな!!」
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