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アキちゃん。
誰だろう……。
アキちゃん。
誰かがわたしのことを呼んでいる。
アキちゃん。
エリ? それともさやか?
アキちゃん。
いや、彼女たちはわたしのことをアキちゃんだなんて呼ばない。
アキちゃん。
じゃあ誰が……?
アキちゃん。
まさか……。
アキちゃん。
まさか……これは……。
アキちゃん……みぃつけた。
「はっ!」
ピリリリリ、ピリリリリ、
薄ぼんやりとした意識の中で聞こえてきたのはその音だった。
ふっと目を開けると部屋にかかっている時計が目に入った。時刻は二十三時、すっかり夜になっていた。雨は降ってない。
ピリリリリ、ピリリリリ、
音は止むことなく鳴り続いている。
なんだろう……突然起こされたことによる不機嫌もあったけど、それよりもこの音だ。
音のするほうを見てみるとベッドの上に放り投げたままにしていた携帯が光っていた。
「さやか……?」
手に持った携帯に表示されていたのは、さやかからの着信だった。
わたしは反射的に通話ボタンを押していた。
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