あけびちゃん

1/25
14人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ

あけびちゃん

「あけびちゃんって知ってる?」 「え? なにそれ。また変な都市伝説?」 「違う違う、この学校にずっと前から伝わってる怖い話なんだって」 「前もそんなこと言ってわたしを驚かせようとしてたよね。どうせそれもただの噂話なんでしょ?」 「それがどうも本当の話らしいんだよね。ほらこの間あったじゃない二組のあの子。どうやらあけびちゃんを呼んじゃったらしくってさ」 「え……それってけっこうヤバイ話じゃない」 「うん。身近であんなことがあったら信憑性高いよね。あ、でも、ちゃんとした方法で呼べば大丈夫なんだって」 「ちゃんとした方法? どんな?」 「あけびちゃんを呼ぶには色んな方法があるらしいんだけど、一番確実なのが……」  1.あけびちゃんを呼ぶには、手足のついた人形とこっくりさんで使うような五十音の書かれた紙と十円玉を用意する。時間は夕方、人数は必ず三人以上でやること。人形があけびちゃんの器になるため、人の形をしているものであればどんなものでも可。  2.紙の上に人形と十円玉を乗せて、人差し指で十円玉を押さえながら、『あけびちゃんあけびちゃん、一緒に遊びましょう』と語りかける。すると、十円玉が『はい』のところに動く。  3.何して遊ぶ? とあけびちゃんに尋ねると『かくれんぼ』と必ず答える。その後に誰が鬼になる? と尋ねると『わたし』と答えるので、用意した人形をその場に残し全員で隠れる。  4.百数えたら人形の置いてある場所に全員で戻り『あけびちゃんみぃつけた』と宣言する。  5.最後に人形と紙を一緒に燃やしておしまい。 「それだけ? 人形相手にかくれんぼしておしまい?」 「そう思うでしょ。私も話聞いたときそれだけ? って思ったんだけど、あけびちゃんを呼ぶときに絶対にやっちゃいけないことがあるんだって」 「やっちゃいけないこと?」 「うん、必ずやっちゃいけないことは『名前を言ってはいけない』『肩を叩かれても振り向いてはいけない』『必ずあけびちゃんを見つけなければいけない』この三つは必ず守らないといけないの。でもね、これを守らないと必ず来るんだって」 「……なにが?」 「あけびちゃんが……殺しに来るんだって」
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!