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2話 ふりふり♡むちむち♡
ライが風呂上がりに酒を呷っていると、同じく風呂場から出てきたばかりの希望が近づいてきた。
「ライさん何飲んでるの? お酒?」
「……」
ぽかぽかと頬を赤く染めた希望が見上げる。きらんっと輝く希望の瞳は『お酒』という『大人のもの』に対して興味を持つ思春期の輝きである。ライは仕方なさそうに、無言で瓶のラベルを見せた。
「それ美味しい? 俺も飲んじゃおうかなー?」
「……お前酔うと面倒だからダメ」
「えー? ライさんしかいないんだからいいじゃん」
唇を尖らせながら、希望は冷蔵庫を開けている。
ライには不思議でしょうがない。何が「ライさんしかいないんだからいいじゃん」なのだろうか。最初に酒飲んでて俺にヤられたのもう忘れたのかこいつ。
ライが呆れたようにため息をついても、希望は鼻歌を歌いながら冷蔵庫の中を物色している。
「ライさんは次何飲む?」
「あー……?」
ライが再び希望に目を向けた。
ふりふり♡ むちむち♡
目に入ったのは、希望が前屈みになって、冷蔵庫を覗いている後ろ姿だった。
男にしてはぷりっと丸く、形の良い尻が鼻歌に合わせて楽しそうに揺れる。白くてむっちりとした太股は惜しげもなく晒されていた。
……だから、なんで?
ライはまた考えた。
何故こいつはこんな無防備な姿でうろうろしているんだろう、と。
希望は上はTシャツ、下はショートパンツという姿だった。シャツの裾は確かに少し長く、普通に立って入れば尻の半分ほどは隠せていたかもしれない。
けれど希望が前屈みになって尻を揺らすので、裾が捲れ上がってしまい、隠しきれないようだった。さらには揺れる度に、ショートパンツの隙間から、尻と太股の境が垣間見える。
ライは考えて、普段の希望の様子から、一つ仮説を立てた。
風呂上がりで熱かったから、シャツとショートパンツだけ身につけることにしたんだろう。それはわかる。ライも今、ズボンは履いていても、上半身は裸だった。
それに、今着ているシャツの裾が長いからショートパンツでもいいと思ったんだろうな、と。隠れてないけど。
そこまで考えても、何故シャツの裾が長いのかと疑問だった。よく見たら、全体的にサイズが合っていないから、肩から少しずれ落ちている。
……いや、だから、それ俺の。
うすうす気づいていたが、希望はまたライのシャツを着ていた。
なんで?
サイズ合わない他人の服着ることに何か意味があるのか?
いろんなところ晒したまま、なんで楽しそうに鼻歌歌って尻揺らしてんの?
隠せてねぇんだよ、わざとかこの尻軽。頭も尻も軽いから揺れてんのか?
いやでも、そういえばこの尻、大きさの割りにそんなに軽くない。
「ねぇ、ライさぁん♡ おれもお酒飲みたいなぁ♡」
希望が甘えた声で、甘えた表情で、手に持った酒瓶に頬をすり寄せて、可愛らしく振り向いた。
その瞬間、ライの怒りはあっさり限界を超えた。
ライは希望のあざとさが、この世の何よりも許せなかった。
楽しそうに、ふりふり♡ むちむち♡ ぷりぷり♡と揺れていた尻と細い腰を、ガシッ、と強く掴んで引き寄せる。
「ひゃあっ!?」
バランスが崩れて、希望は慌てて開いたままの冷蔵庫にしがみついた。
「え? え?! なに?! なっ……ぎゃぁっ!?」
希望が混乱して固まっていると、ショートパンツが引きずり下ろされた。
つるりと丸い尻が外気に晒されて震える。片手で腰を掴まれたまま、尻を突き出したような体勢を余儀なくされて、希望は恥ずかしさで全身を赤く染めた。耳まで真っ赤になった希望を見て、むしろ今までの無防備ではしたない姿を全く恥じていなかったのかと、また疑問が増える。
「ラ、ライさ……あっ! ……あぅん……っ」
むき出しの尻に押しつけられた、布越しの固くて熱い熱に気づいて、希望は甘い吐息を零した。
自分に向けられた激情と衝動に、希望自身も煽られて、ぞくぞくと背筋が震えている。内側から熱がじゅくり、とあふれそうな気がした。
「あっ、あぁっ、やっ……はぁっ、んっ……んんぅッ……!」
むちりとした柔らかい肌とほどよい弾力の尻を揉みしだかれながら、熱をぐりぐりと押し付けられて、希望は頭がふわふわとして、瞳がとろんと蕩けていく。
希望が最後の理性を振り絞って呟いた。
「な、なんでぇ…? あんっ、なんで、いきなりこんなに……? あっ、ぁあっ……!」
……いやだから、なんで、じゃねぇだろこの淫乱。
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