3話 むちむち♡むにむに♡ぎゅうぎゅう♡

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3話 むちむち♡むにむに♡ぎゅうぎゅう♡

「ライさん疲れてるの? イライラしてる?」  ライの隣に、希望がちょこん、と座った。  タンクトップに、ショートパンツ。ライのではなく、サイズがしっかりと合っているから希望のだ。今日はちゃんと自分のを着ている。そんなことをうっかり確認してしまった自分に腹が立った。ちゃんと、ってなんだよ。当然だろ。  しかし、希望のつやつやの白い肌に、首筋に、鎖骨に、肩に、布越しでも主張が激しい胸とその中心の突起に、むちりとした太股からすらりとした足まで、ぜんぶ晒されていた。  もうその姿に疑問を持つのも面倒で、ライは視線を僅かに希望に向けるだけだった。 「ライさんでもストレス溜まるの? 出来ないこともなさそうだし、好き勝手やってるのに。思い通りにならないことなんてあるんですか?」  希望はライをじっと見つめて、不思議そうに首を傾げている。  ライは希望を睨み付けた。 「てめぇだよ」 「……?」  希望はきょとん、とした後に、少し時間をかけて考えている。  けれど、すぐにハッ、と何か閃いたように頭上に星を煌めかせた。 「……俺が可愛すぎて……ってこと……??」 「……」  ライは思いっきり眉を寄せた後、ソファの背もたれにぐっと寄りかかって、天井を仰いだ。      なんでだよ。  誰だこいつを甘やかしてきたのは。世界か? 神か?  自己肯定力強すぎてもはや化け物だろうが。      確かに、金色の瞳が星の光を集めたように煌めくのも、瞳を覆う水分が多くて誘うように揺らめくのも、凜々しく形の良い眉も、くっきりと長い睫毛に縁取られて鋭いつり目も、無遠慮で無防備な眼差しも、ぷっくりと厚めの唇も。  希望の顔立ちはライの好みだった。初めて会った時から、それは変わらない。  顔だけではなく、身体も、声も、ついでいえば反応も、そう確かに、ライの好みではある。間違いなく。    ライが希望をじっと見つめると、希望も見つめ返した。希望は、またハッとした。 「……可愛さ余って憎さ百倍なの……?」 「口閉じとけよ、台無しだから」 「魅力的すぎてごめんね……?」 「畳み掛けてくんじゃねぇよ」  ライが疲れたようにため息をついた。  希望は心配そうに、神妙な顔つきでライを見つめている。  しばらくして、希望はまた何か閃いたように瞳を輝かせた。 「疲れてるなら、マッサージはどうですか!」 「は?」 「俺がマッサージしてあげるよ!」 「は?」 「ライさん疲れてるんでしょ? 遠慮しないで! 俺が癒やしてあげるね♡」  希望はにこ、っと微笑んで、くりん、と首を傾げる。  ライは希望の今の姿を上から下まで眺めた。  タンクトップに、ショートパンツ。むき出しの肩や腕、太股。  それで、マッサージ。    無言で希望を眺めているライの答えは聞かず、希望はライの手を取って、寝室へと引っ張っていった。      ***     「さあ、ライさん寝転がって♡ あ、最初はうつ伏せね♡」 「……」  希望に促されるまま、ライはベッドに横になる。  希望はうきうきとした様子で、ライの隣に正座した。 「肩と背中からマッサージしまーす♡ 乗るよー? いい? 乗りまーす♡」  ライが答える前に希望はライの腰あたりに跨がった。      むちむち♡ むにむに♡ ぎゅうぎゅう♡      薄い布越しに、希望の丸く弾力のあるむっちりとした尻が背中に乗っかって、しっとりと柔らかな肌の太股で胴体を挟まれる。  希望がライの肩に手を添えて、ぎゅうぎゅう、と体重をかけて押してくる。希望が力を込める度に、反動で尻と太股がライの身体に押しつけられた。      ……もう、なんなんだよこいつ。      ライは考えるのをやめそうだった。  なぜなのか、もはや理解できそうにない。考えるのも面倒だ。    希望が今、こんなにも楽しそうな理由はなんとなくわかる。  希望は甘えるのが好きだ。愛されるのが好きだ。  けれど、それと同じくらい甘やかして尽くすのが好きだし、愛するのが大好きな男である。  普段はライに甘えているが、隙さえあれば希望もライに何かしたいと考えているのは知っている。  ライにはその隙がないので、全身全霊で甘えることに徹しているが、希望は愛したいし尽くしたい。  だからこういう機会があると、「俺がしてあげる!」と張り切る。嬉々としてライのためになる(と本人は思っている)ことをしたがる。  鬱陶しいけれど、この希望の愛を無理矢理にでも止めると、溜まりに溜まった愛がどこかで爆発して面倒なことになるので、ライは仕方なくさせたいようにさせていた。    だけど、ライには解らない。  今まで、希望が無防備に誘うような姿で身体を晒していれば、散々辱めて虐めてぐちゃぐちゃにしてやったというのに。  どうして希望はまたこんな姿で、自分の上に跨がって、密着しているのだろうか。  その気がないのにどういうつもりで身体押しつけてくるのか。  何度ぶち犯せば理解するのか。  無意識の方がよっぽどたちが悪い。そろそろ意識してほしい。   「わあ! ライさん筋肉すごーい! かたーい♡ かっこいい♡」    ……こいつマジでどういう神経してんの?      マッサージになっているのかどうなのか、希望がライの背中の筋肉に触れてはしゃいでいる。希望のきゃっきゃっと楽しそうな声に、ライはそれ以上考えるのをやめた。
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