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1話 ぎゅうぎゅう♡むにむに♡
ライはソファにゆったりと座っていた。
しかし、コーヒーを口に運ぼうとしたところで、突然、強めの体当たりで衝撃を受けて、相手を睨む。
「ラーイさん♡」
ライの苛立ちなど露知らず、希望はライにぴったりとくっついて笑っていた。
大きめのソファにゆったりと座っていたはずなのに、急に狭い。距離感センサーがぶっ壊れているのかこのクソガキ。
「あのね、今度このお店行ってみたいなー」
希望はライにくっついたまま、携帯の画面を見せた。
ぎゅうぎゅう♡ むにむに♡
ライの太く逞しい腕に、希望の肉付きの良い胸が当たっている。
どうしてそんなにくっつく必要があるのか、とライは考える。考えながら、ライは希望が見せる画面に目を向けようとした。
ライは希望よりも背の高い。
だからライは視線を下に向けなければならない。それが自然な動作だった。
しかし、そうすると、希望が見せたい店の情報よりも先に、希望のTシャツの襟の隙間から覗く、白い肌が目に入ってしまった。
これでもかと押しつけられた胸が寄せられている。その奥にはちらり、とピンク色の突起が見えた。周囲はぷっくりと淡く色づき、中心はつんっと少し色濃く、生意気に存在を主張している。
……いや、なんで?
ライはまた考える。
何故、希望のTシャツの襟にこんなに隙間があり、中が覗けるのか、と。
希望は、ライと出会う一年ほど前から歌手をしている。
最初はボーカルが抜けていたバンドの穴埋めとして。
そしてその後はバンドを抜けてひとりで、今も歌っている。
その一年で、ライブを乗り切るため、希望は身体を鍛えたらしい。
喉だけに頼る歌い方では声量を保てないから、大胸筋と腹筋を重点的に。
そのせいか、胸は大きくなり、腹筋が引き締まっている。
元々筋肉質とはいえ、細身の身体だったので、身体に合わせた服を着ると胸のあたりはややサイズが合わなくてきついらしい。
ワイシャツのボタンでさえ、「胸が大きくなったからちょっと苦しい~!」等とふざけたことを抜かして、よく開けていた。Tシャツも胸のあたりがぱつぱつとしていたような気がする。
だから、襟から中が覗けるような隙間は、本来できるはずがない。
なのに、何故今こうして隙間から白い肌が見えてしまうのか。
時折ちらちら覗くぷっくりとしたピンク色も、生意気過ぎていっそ苛立たしい。
なんで? と少し考えてライは気づいた。
襟だけではなく、シャツ自体のサイズが希望の身体に合っていないこと。
そして、胸のあたりが大きくV字になっているこの黒いシャツは、そもそも希望のものではないこと。
……つーか、これ、俺の。
それは間違いなくライのシャツだった。
何故、勝手に着てるんだろう。いくらでも自分用の替えはあったはずだ。そもそも何故サイズが合わないと知ってて着るんだ。というか、何で着替えた? 必要か?
様々な疑問が浮かんで、ライが考え続けている間も、希望は噛みつきたくなるような健康的な白い肌と憎たらしいピンク色の突起をちらちら♡と覗かせて、ぎゅうぎゅう♡むにむに♡と身体を押しつけてくる。
あまりの無防備さに、ライはだんだんイライラしてきた。
何も知らずに、画面に目を向けていた希望が、ライを見上げた。
たっぷりと潤んだ瞳がきらきらと輝いている。
清純そうな、清楚そうな、清らかな顔を見ていたら、ぎゅうぎゅう♡むにむに♡ちらちら♡と誘惑する体のエロさがふざけているとしか思えなくて、ライには許せなかった。
「それでね、今度の休み……え、えっ!? ぎゃあ!」
希望をひっくり返して覆い被さり、シャツを乱暴に捲り上げる。希望が悲鳴を上げて、慌てて隠そうとするが、ライは邪魔な腕を掴んで抑えつけ、ぷっくりと誘惑するピンク色に噛みついた。
「びゃあ!? い、いたっ…?! 痛いよぉ! やめっ……あんっ…ひゃぁぅっ……!」
噛みついた後すぐに吸い上げると、希望はびくびくっと小さく身体を震わせて甘く鳴いた。
唇を首筋まで這わせながら、ずっと押しつけられていた胸を掴んで揉んで中心をぎゅうっと摘まんで搾る。「ひぃっ!」と希望が声を上げて痛みに震えている。しかし、ライの行為に慣らされ続けた希望の身体は、刺激に反応してしっとりと火照っていった
「なっ、なんでぇ? どうしてっ急に、こんなっ……あっ、はぁぅ…んっ……!」
とろとろと蕩けて、うるうると潤んだ瞳で見つめる希望をライは睨む。
どうして、じゃねぇんだよこの馬鹿。
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