世界が色づいた時

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「じゃーねーバイバイ、茜ちゃん」 「うん、さいなら」 今日の放課後、低学年時代からの親友渚の家へ遊びに行って、かれこれ2時間近く遊んでしまった。 近くの交差点まで送ってくれた渚は、元気よく手を振って別れを惜しんでいる。 近くの交差点まで送るというのは、彼女が自分からやろうとしたことではない。 それは5年前、私と渚が初めて会って、そして急激に仲が良くなっていった時期に、両家の間で作られた約束事が原因だ。 『二人がどちらかの家に遊びに行った時は、その家の子が来てくれた方を近くの交差点まで送る』 というもの。 まだ7歳かそこいらだった私と渚は、この意味がわからなかった。 しかし特に詮索することはなく、むしろ別れを惜しんだ二人はわざと遠回りして送りあったこともあった。 その時、何かいけないことをしているようでワクワクした。それは渚も同じだったようだ。 そんな昔のことを思い出しているうちに、長く伸びていた渚の影は消え去っていた。 そして私は、もう目の前まで見えている自宅に足を向けた。こんな時間に帰ってしまっては、お母さんに叱られる、なんてことを考えながら。
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