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実家に戻ればこんなつらい思いなんてしなくて済むのに。
食べるものや住む場所に困ることなんて一切ないのに。
何度、あきらめようと考えたことか。
でもまたあの家に戻ると考えたら……青龍は顔をあげ、瑠璃を睨みつけた。
「そうだよ、ババア。オレは白を……他種族を認めねえあんたたちの生き方が間違っていることを証明してやる。どんなに過酷だろうが知るか。」
この一族の元に戻れば、大事にしていた仲間たちを捨てることになる。
白だけじゃない。
他の種族を認めないそんな狭い世界で生きていくのは、耐えられなかった。
「オレはあんたたちが見下している人間の召喚主を見つけて、誰にも負けないタッグを組む。そして、あんたたち古い考え方の連中が間違っていたって、泣いて謝らせてやる!」
青龍が瑠璃を指さしそう宣言すると、青龍の親たちは慌てた。
「空!おまえ自分が何を言っているのか分かっているのか!?」
「今なら間に合います!空、義母さまに謝りなさい!!」
口々に何かを言う親を無視し、じっと青龍は瑠璃を見る。
自分の祖母が、どんな答えを出すのかを待った。
店内がざわつく中、しばらくして静かに瑠璃は目を閉じた。
「そうですか。……分かりました。」
意を決したように瑠璃は、青龍に背を向け自分たちの一族の方を見るとはさりと翼を広げた。
「この時を境に、この者は我が一族の『空』ではなくなりました。あなたには、もう名前はありません。」
目も合わせず瑠璃は凛とした声で宣言をした。
それを聞いた青藍、そして青龍の母は驚き目を丸くした。
「………お母様!?いきなりなにを!?」
「勘当です。この者は、我が青龍一族から除籍いたします。」
まるで当然のことのように瑠璃はその場にいる家族に言い、その場を離れようとした。
すると、そんな瑠璃の目の前に小さな青色のものが飛び出した。
「待って!おばあちゃん!」
それは、青龍の妹の蒼だった。
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