23. 芍薬の花

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吾郎さんと身内だけを招いた結婚式にしようと話は纏まった。 ささやかで構わないと言った彼女は場所も拘らないと言った。 関東からの出席者を考慮して、連休のある時期にと思っていたら、店からほど近い教会にゴールデンウィークに空きがあった。 これは運命じゃないか? ゴールデンウィーク最中の店は、意外と暇で休めそうな気がする。 とは言えゴールデンウィーク。 天宮の家族と慶次郎に聞いてみたら、みんな快く承諾してくれた。 間もなく慶次郎から大竹に結婚式の話が伝わり、 「俺を呼ばないとかないだろ?」 とわざわざ連絡が入った。 ゴールデンウィークのド真ん中、来て貰う方が気を遣うと言ったけど、 「俺を呼ばないとかないだろ?」(2回目) でおしきられ、大竹を呼ぶことになった。 となると、真白の友達。 「幼馴染みには声掛けてみようかな…」 と言う話になり、矢沢・優樹菜ちゃん・久米君の3人は二つ返事で参列となった。 また、Blanc purのメンバー達も「呼んで貰えないのか!?」と騒ぎだした。(特に藤木) 店は休みにするつもりがない話をしたが、わざわざ現段階の予約状況を見て、目と鼻の先の距離の教会だから問題ないと出席を懇願してきた。 確かに藤木夫妻には世話になっている。 Blanc purのメンバー代表で藤木夫妻の出席も決まった。 挙式だけをして、ささやかに近所で食事会をと思っていたけれど、結局小さなレストランを貸し切ることになった。 昼過ぎの挙式、おやつの時間のパーティー。 遠くから招いてもてなすには微妙な時間にも関わらず、みんなが「出席したい」と言ってくれて、本当に嬉しかった。 俺と真白は仕事をしながら、1ヶ月少ししかない期間を二人で協力しながら準備した。 ドレス選びは千穂さんと行ったり、横浜から天宮の母や優樹菜ちゃんが来てくれたりしていた。 俺も衣装合わせに同席したかったのに、頑なに拒否された。 「当日に見て欲しい」 真白がたった1つ希望したことだった。 真白さん、ウエディングドレスがわからなきゃ、ヘアメイクのイメージが出来ない、準備が出来ないよ…。 「カリスマ美容師やろ。当日のインスピレーションで世界一綺麗にしたりぃな」 千穂さんの一喝で俺の有無はなかった。
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