5. 君の真意を知る

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道が混んでいて、総合病院に到着したのは21時前だった。 矢沢に連絡して、病棟を聞くも、矢沢は病院の夜間出入口で立って待っていた。 車から飛び降りて、矢沢に様子を聞く。 「墨さん、ごめん!面会時間が20時までらしくて…」 「えっ!?」 もう20時は過ぎてしまっている。 「さっきまで久米っちや天宮のお母さんも居たんだけど…。ここ完全看護だからって帰らされたんだ」 「そうか…」 心配で仕方がない。 「真白はまだ意識ないのか!?」 「薬で眠ってます。肺炎を起こしたみたいで」 「肺炎!?」 思わず矢沢に詰め寄る。 何でそんなことに… 「矢沢、優樹菜ちゃんに頼んで何とか会えないか!?」 俺の言葉に大竹が止めようと肩を引っ張られた。 止めとけの合図なのはわかってる。 だけど、 「一目だけでいいからっ!」 このまま帰れるわけない。 「頼んでみますけど…。アイツ鉄壁だから…」 矢沢はそう言いながらも、優樹菜ちゃんに連絡をしてくれた。 暫く待って、看護師の姿で現れたのは優樹菜ちゃんだった。 怪訝な顔で俺達を見た。 「何の集まり?ここは病院よ。面会時間も終わってる。解散して」 厳しい口調で言われた。 「優樹菜ちゃん、真白の様子はどう?」 「ご家族以外の方に患者さんの様子はお伝えできませんので、お引き取りください」 彼女の言葉に、 「そんな言い方ないだろ」 と大竹が呟く。 眉をひそめる優樹菜ちゃん。 「わかってる。わかってるんだけど、少しだけ…どうしても心配で」 俺は大竹が見えないように優樹菜ちゃんの前に立ち、懇願する。 優樹菜ちゃんは俺を見上げた。 「別れたんですよね?」 彼女は全てを知っているようだった。 「真白がどんな思いで離れたかわかります?今会ったら全部台無しになる。帰ってください」 優樹菜ちゃんは強い口調で話した。 「なんで会いに来たんですか?アナタが離れることを望んだのにっ」 見上げて言われたその言葉。 「えっ?」 俺の反応にハッとした表情を見せた。 「私…戻ります」 「優樹菜ちゃん、待って!」 彼女の腕を咄嗟に掴み、離す。 「ごめん!今のどういう意味?」 彼女が目をそらす。
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