その犬、神戌

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その犬、神戌

   現れたのは神戌    一同大笑い 無道「これは愉快だ! おい良く聞け! 確かにあの犬を仕留めたのは俺様だが、 それを捌いたのは 他でもないテメエの親父だ! そんな奴が今度は娘を見捨てたんだ! 真の人でなしは誰だ? 言ってみろ! ああ!?」 お公「お父さん・・・」 無道「どの道、 生きて夜明けを迎えさせる つもりは無いがな。 とりあえず」    神戌に刃を向ける無道 無道「このクソ犬を捌いて、 俺様をコケにした優男に送りつけてやるか」    お公が神戌の前に立ち、庇う 無道「退け」 お公「(震える)嫌だ」 無道「テメエは何も分かっちゃいねえ。 そいつらは人様に危害を加え、 飯を奪い、 何の恩恵も与えねえ。 人様の役に立てねえなら、 数を減らし、 その血肉を寄越せってのが道理だろうが」 お公「犬は家族だ! 私達が愛情を注げば答えてくれる! 人以外を家畜と見下し、 こいつらの事を 何も知ろうとしない お前らこそ真の分からず屋だ!」 無道「(ため息を吐く) 犬公方(徳川綱吉)も こんな脳天気だから 「生類憐れみの令」なんて 思い付いたんだろうな。 庶民の反感に気づかない訳だ。 ならば」    刀を天に振りかざす無道 無道「カブキモノとして、 庶民の代わりに お上に盾突いてやるのが粋よ。 死ね!」    刀が振り下ろされた、その時 神戌「掴まれ!」
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