その男、犬丸

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その男、犬丸

   見張り役の博徒が倒れる 犬丸「これは何とも滑稽は光景だ」 虎徹「あ?テメエは」 無道「よう優男、何が面白いんだ?」 犬丸「元来 「ヒト」と言う生き物は、 大昔から強大な獲物と戦う為に 群れを成し、 今日まで集団のある 社会で生きる習性があるのだが」 虎徹「それがなんだってんだ」 犬丸「(鼻で笑う) いや。ただ、 常にそんな社会に反する行為を 「粋」だと捕らえる 天下のカブキモノ様が。 こうして群れを成し、 しかも女子供を相手に 大見得を張る所を見ると、 如何にカブキモノと言えど 「ヒト」の本能には 抗えない虚しさが覗えてね」 虎徹「何を!」 無道「まあ待て。 俺たちは庶民になり代わり 慈善行為をしているだけさ。 テメエはどうなんだ? やけにそいつを大事にしているが」 犬丸「犬は所詮犬だよ。 どんな家族愛を語った所で赤の他人 その役目は人に従うか、 身に危険が迫れば 飼い主だろうと襲い掛かる この世界に生まれた以上、 どの生類も生きる為に 時に命を奪い合わなくてはいけない。 それが世の道理」    俯くお公
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