戌と犬

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戌と犬

〇戌神神社    下町の外れ    江戸城から戌の方角に位置する一角    人の背丈ほどの鳥居と小さな社殿    芝犬の像が祀られている    そこに立ち寄るお公    身につけている簪とお賽銭を供え    合掌する お公「大戌神の命さま。 お願い致します どうか権太をお守り下さい」    後ろから声が掛かる 神戌「その権太と言う者。 お前の飼い犬か?」 お公「うん。 ちょっと前に居なくなっちゃって」    振り向くお公    目の前で神戌がお座りしている お公「え?今喋っていたの、ワンちゃん?」 犬丸「違うよ、こっち」    道の向かいにある    茶屋に腰掛ける犬丸 お公「何か声が違うような」 犬丸「ああ、少し喉を痛めてね (神戌の声真似をする) どう? それより その子、探しているの?」 お公「うん。 いつも決まった時間に 一緒に散歩に行くんだけど。 10日前位から居なくて」 犬丸「どんな子?」 お公「白いの! ワンちゃん(神戌) と同じ姿をしているわ」    見つめ合う犬丸と神戌 犬丸「とは言え・・・」
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