戌と犬

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   周りを見渡す犬丸    「生類憐れみの令」により    市街に溢れる野犬(主に和犬)    食料を求めに掃き溜めに集まったり    奈良公園の鹿の様に    通行人に群がる姿も見える    その手間に負いきれず    翻弄される庶民 犬丸「この町から、 犬の居ない場所を探す方が 骨が折れる位だからなあ。 そうだ! (お公に) ちょっとその場に 立って貰って良いかな?」    お公の周囲を探り匂いを嗅ぐ神戌 お公「何?」    犬丸「権太君の手がかりを探しているんだ」    お公の尻を重点的に嗅ぐ お公「私、そんなに臭くない!」 犬丸「悪く思わないで。 犬はお尻の匂いを嗅いで 情報を集めるんだ」    周りを探り    地面に鼻を近づけながら    歩き出す神戌 お公「何処へ行くの?」 犬丸「今、 町中に溢れる匂いの中から 権太君と同じ匂いを嗅ぎ分けているんだ。 きっとこの先に手がかりがあると思うよ」 お公「一緒に探してくれるの?」 犬丸「あんなに飼い犬のために 祈っていた人を 放ってはおけないだろう?」 お公「ありがとう!」
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