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「っぷはぁー!長かったぁ……」
少女剣士がその場に倒れ込む。その隣に不良少年が座り、その更に隣に灰色髪の少年が立つ。
「まさか十一体も出て来るとはなぁ……」
「しかも最後の一体が生存本能全開ときた」
「ああ、そんな気ぃした。ここで全滅するぐらいなら、ってカンジの」
「今日はもうダメかと思ったよ……」
「つか、マジでこれで全部か?実はまだ十体目とか」
「確認して貰ってる」
灰色髪の少年が無線機で通話している、銀髪の少女に目線を向ける。
「二、一、二。私は一で……」
指折り計算をしていた銀髪の少女が三人に駆け寄る。
「あの、何体倒しました?」
「ああ、トドメ刺した数か。オレは確か――」
「私はさっきので二」
「勝った、オレ三」
「勝負じゃねぇんだぞ」
「これで十一。全部ですね」
「じゃ、引き上げるか。部室に一旦集合してから解散する様、皆に伝えてくれ」
地面に座って、寝転がっていた二人が立ち上がる。
「お疲れ様。これで少しでも町が安全になると良いね」
「今日これだけやりゃあな……」
「とか言ってお前、ゼロ体じゃねぇか!何してたんだよ」
「何って索敵。誰が散らばった十一体の居場所知らせてたと思ってんだ」
「え、一人で全部見つけてたの!?すごい……」
「いえ……途中から私も手伝わされまして……」
「だから会長サン、一人で――」
不良少年の言葉が途中で止まる。
「ヤベ、また雪降って来やがった……」
「今日は珍しく晴れてたのに……」
「酷くなる前に戻るか」
灰色髪の少年がポケットから懐中時計を取り出し、蓋を開けて時刻を確認。
そうしている間に二人の背中が遠ざかっていた。
「まさかいつもの気まぐれが、こんな戦い続きになるなんてな……」
数ヵ月前の事を懐かしむ呟きは、勢いを増す雪の中に消えていった。
……
…………
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