『湖水の町』

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それから三日後、僕は哲也と北山のダムに向かうバスに乗っていた。 バスは田んぼの畦道を両側に見ながら緩やかな坂道を登って行く。 「あのさ、僕のうちのばあちゃんに聞いたら色々と知ていて、教えてもら った情報があるんだけど、これを見てくれる。」 そう言って、僕は自分のリュックの中から幾つかのメモ書きと写真を取り出し 哲也に見せる。哲也は写真を食い入るように見ながら、僕の話に耳を傾けている「あのダムが出来る前には、1000人位の人達がそこの場所に住んで生活していたんだって。」 「マジ!!」 「干ばつ期には・・・」 「干ばつ期てなに?」 「知らないの?雨などが降らないで、水不足の状態の時の事。・・その時には水底に沈んだ町の姿が現れるらしい。」 「マジで!やっぱり本当なんだ。」 「うん。哲也の父ちゃんが言ってた通りだよ。」 バスはいつの間にか山道を走っている。 「壮太!今、干ばつ期じゃねえの!」 「僕もそう思う。」 「ということは、遭遇するかも『水底の町』」 「だといいね。」 バスで揺られること40分、どうやらこのバスの終点が僕らの目指すダムらしい。 バスから降り立つと、夏休みとあって観光客の姿が多い。 僕と哲也は、目指す『水底の町』を捜すために観光客とは別方向に歩きだす。
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