『湖水の町』

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帰りのバスの中は沈黙が続いた。 先程まであんなに晴れ渡っていた空も、どんよりと黒い雲に覆われて、今にも雨が降り出しそうだ。 「哲也、外を見てみて」 「え、」 「急に暗くなって来たね。」 「本当だ、夕立でも来るのかな?」 ・・・・・・ 「僕ら、何にも知らなかったんだなぁ!」 「なぜ、父ちゃん達は教えてくれなかったんだろう・・・」 「あの場所から。今の家に引越すまでには色々な事があったんだろうな。 あ、雨が降って来た。」 「あの町は、また水底に消えて行くんだろうか。」 「多分、そうだね。」 雨足はみるみる早くなりバスの視界を塞いでいった。
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