『湖水の町』

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また夢をみた。 目は覚めたものの、夢の輪郭は思い出せない。いつもの事だ。 窓ガラスを叩く雨の音で夢から覚めたのかもしれない。 布団の中から手を伸ばして、少しだけカーテンを引いてみる。 外に目を向けると、窓の外では軒から大粒の雨が落ちて来ている。 その向こうの景色は白く霞んで見える。 今日は午後から哲也と町営プールに行く約束だった。 ベットのヘットボードにある時計を見ると、針は『5:30』を指している。 「まだ、早いなぁ」開いていたカーテンを戻し、またベットの中に潜り込む。 それからどれ位の時間が達たのだろうか、カーテン越しに差し込む8月の日差しが瞼の裏を射す。 階下から母親の声が聞こえる。 「壮太、哲也君から電話ー!」 「そうだった、約束をしていたんだ。」 「わかった、今行く」 今日も、中学3年生の僕と哲也の夏休みの一日が始まる。
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