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「おいおい、なんだよどうしたんだよ!!お前らしくないな…飲み過ぎてハイになってんのか?」
俺に動じるどころか、松川は俺を煽るかのようにニンマリと薄気味悪い笑みを浮かべた。
胸糞悪い。
松川に一発お見舞いしてやりたいところだが、そうしてしまうと俺もこいつと同じ人間になってしまう。
それだけはどうしても避けたかった。
俺は仕方なく松川を強く押し飛ばし、解放してやった。
「お前、とぼけるのもいい加減にしろよ」
「…だからさっきから何を言ってるんだよ。周りくどいんだよ、言いたいことがあんならはっきり言ってみろよ!!」
松川はふぅっとため息を漏らし、やれやれと首を傾げた。
俺はさらに続けた。
「ああそうだな、それじゃあはっきり言わせてもらう。お前アユちゃんのこと、心から好きだと言えるか?」
真剣に問いかけると、松川はあっけらかんとした表情を浮かべた。
「は〜ぁ?当たり前じゃねぇか!!唯音は俺の彼女なんだぜ?…心から好きだよ、愛してるよ」
「わかった、それじゃあ承知の上で聞く。どうしてアユちゃんに…大切な人に手を上げたり傷つけるようなことをするんだ…?」
俺の投げかけたこの問いに対して、松川の目の色が一瞬でガラリと変わった。
今にもこちらに飛びかかってきそうな…まるで獲物を狙う獣のような目つきだった。
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