Episode 3

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「痛ぇ…」  松川からの一撃と、飛ばされた衝撃で俺はすっかり動けなくなってしまった。  そんな俺に一歩一歩ゆっくりと松川が歩み寄ってくる。 「…宇治、お前が鈍いのは知ってたぜ。でも、本当に知らないんだな」 「何の話だ…!!」  窓の外を見つめ、涙を不器用に服の袖でクイッと拭うと松川は意味深に呟いた。  俺は恐る恐る下から松川の顔を覗き込むと、松川の口角は妖しく上がっていた。 「まぁいい…とにかく俺はお前のことが嫌いなんだよ。本当ならここで…」  そこまで言うと、松川は何処からかポケットナイフを取り出し、俺の首元に突きつけた。 「お前を殺してやっても、いいぐらいには…なァ?」 「や…やめろ…!!」  俺は慌てて松川を振り切り、未だにジワジワと痛む腹を抱えながらゆっくりと立ち上がった。 「フ…ハハハハハッ!!なぁおい、冗談だよジョーダン!!ビビってんじゃねぇよ」  いつの間にかBGMが消え、すっかり静まり返ったバー店内に(つんざ)くほどの松川の高笑いが響き渡る。  そして暫くの沈黙ののち、松川が口を開いた。 「なぁ宇治。お前さぁ…唯音のこと、好きだろ」
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