Episode 3

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「宇治さん、やはり危険ですのでここからは僕たち二人が行きます。心配かと思いますが、どうか安心してここで待っていてください」  樋口はそう言うと、垂れた目でにっこりと優しく微笑み俺の手をそっと解き、しっかりと握り締めてくれた。 「でも…」  とにかく不安で堪らず、何か俺にもできることはないかと口籠ると、今度は野田が俺の手を更にギュウウッと力強く握り締めた。 「何を言ってるんだ、俺たちは警察官だぞ。そこらのアマちゃんな男じゃねぇぜ。こいつの言う通り、彼女らを心配する気持ちは十二分(じゅうにぶん)にわかるが、もうモタモタしている暇がねぇのは分かるだろ?…絶対に俺たちが助ける。だからここから動かないで待っていてくれ」  野田の言葉に、樋口も何度も何度も首を縦に振った。 「…わかりました。どうか…どうかお願いします…鮎川を…いや、二人を必ず助けてください…!!」  俺は二人の真摯な姿と優しさに、張り詰めていた糸がぷつりと切れたような心地がした。刹那、ここまで堪えていた感情がすっかり(あら)わになり少しだけ泣いてしまった。  二人は、そんな俺の情けなく(すぼ)まった肩を大丈夫だ、と言わんばかりにガッツリと掴んだ後、それぞれが警棒や拳銃を片手に勢いよく扉を開け、颯爽と中へ消えていった。  俺は二人を見送ると、少しの安堵と、いつの間にか恐怖で(すく)みフルフルと震えた脚をついに支えきれなくなり、膝からガクリと崩れ落ちた。
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