Episode 1

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「ごめん、スーツに鼻水ついたかも」 「おいおい、下ろしたてなんだぞ」  玄関で久々に夫婦らしい会話をした。普段からすれ違いの生活を送る俺たちにとって、それはかなり貴重なワンシーンだった。 「それじゃあ、行ってきます」 「行ってらっしゃい、気を付けてね」  玄関のドアをゆっくりと開けると、眩しい陽の光がじわじわと差し込んできた。なんだか、今日はいいことが起こりそうだ。直感でそう感じた。  妻に温かく見送られ、俺はマネージャーが待つ車の方へと歩み始めた。 ♢
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