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序章 ー幕開けー
梅雨はまだ先だと言うのに、朝から雨の降り続くその日、青嵐高校の生徒会室には不穏な空気が漂っていた。
「もう部長会は終わったんだ。早く退室してもらおうか、お二人さん。」
生徒会長である如月俊樹は怪しげな笑みを浮かべながら、そう言った。
すかさず、如月の横に立つ生徒会書記の西野筝が、如月に退室を指示された二人ー新聞部部長の新田春と探偵部部長の向野実を睨む。
部屋には何とも言い難い緊張感が漂っていた。
「私はあんたたちになんて負けない。あの時と同じ事を繰り返さないためにも。」
新田が急に立ち上がり、そう言い放つ。如月をまっすぐ見つめる揺るぎない眼差しが、彼女の強い信念を物語っていた。
如月は新田を見て目を細める。
しかし、次に口を開いたのは、今まで口を閉ざしていた向野だった。彼の長い前髪の隙間から、如月を見据える鋭い眼光が光る。
「やれるものならやってみろ。」
そう、彼は言葉を吐き捨てると、新田に視線を移し、睨みつける。
眩しい光が部屋を照らし、彼らの亀裂を象徴するかのような雷が校庭に落ちた。
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