第一部 ー青嵐高校ー

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第一部 ー青嵐高校ー

『冷静さとは常に持ち合わせるべき、       人間の人間たる所以である』 と、私は思う。 日本を代表する進学校でありながら、生徒の自主性を重んじる歴史ある学校ーーー青嵐高校。 先週満開を迎えた桜は桜吹雪となり、私たちの入学を祝っている。 新しい制服に身を包んだ他の新入生たちの笑顔は咲き乱れていた。 今日から私はこの学校に通う事になる。 他の生徒に混ざることなく、かと言って自分の世界に閉じこもり、人を避けるわけでもない私は、この場にいる新入生の誰よりも冷静かもしれない。 「いい学校生活を送ってくださいね。」 その言葉に伏せていた顔を上げると、私の胸にブローチを付けてくれた先輩が微笑んでいた。     ー美人だー 思わず口に出してしまいそうになった言葉を飲み込む。 「では。」 私は上品にそう言って去って行った先輩の背中を、無意識に目で追っていた。  ー冷静さとは人間たる所以であるー そう、頭の中で反復する。私は視線を前に向け、先輩の去って行った方向とは逆の方向に一歩踏み出した。 先輩の腕に付いていたタスキを思い出して呟く。 「生徒会。」 冷静になった頭に響いた。
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